遺贈(いぞう)と死因贈与(しいんぞうよ)の違いについて

先日、死因贈与についてのご相談がありました。
受験時代の記憶をたどってすこし法律チックなお話をしたいと思います。

まず言葉の意味から、
遺贈」とは遺言で財産などを贈与することです。

死因贈与」とは私が亡くなったらこの財産は贈与しますという契約です。

結果的には財産が上げたい人にいくのですが同じように見えますが法律的には多少異なります。

撤回の可否

遺贈は遺言でなされます。
遺言とは被相続人の最終意思が非常に尊重されるための制度です。

そのため、遺言で書かれた内容はいつでも撤回が認められます。
ただし口頭での撤回は認められず、
1)自筆証書
2)公正証書
3)秘密証書
の3種類の方法でしか撤回はできません。
(遺言の作成方法についてはまたの機会にさせていただきます。)

これに対して死因贈与とは契約です。
契約とは相手方が存在して、お互いに意思表示をしたうえで成立するものです。
そのため遺贈よりも少しだけ撤回が難しくなります。
例えば

「この財産をあげるから私の老後の面倒をみてくださいね」

のように受贈者にも義務が課せられるよな負担付遺贈などは撤回が認められないケースもあります。

書面の必要性

遺言は要式行為と言って書面に記載することが原則です。
遺言書は相続人の権利関係をはっきりとさせるための証拠にもなりますし、また不動産の相続登記をする際にも添付されるものです。

これに対して死因贈与は定まった形式はなく口約束での契約も可能です。
もちろん後日、あげる側の人がそんな約束はしていないと言えばお終いですが。

贈与者について

遺言能力は民法で15歳と定められています。
つまり15歳以上の方なら誰でも遺言を書くことができます。
年齢以外の制限はありません。

しかし、代理で遺言を書くことはできません。

遺贈とは法律的には単独行為と呼ばれるもので一人で完結させるものなので代理行為とはなじまないのです。
しかし死因贈与は契約行為であります。
未成年者・成年被後見人など一定の方は一人で有効に契約を結ぶことはできません。

なのでこれらの場合は親権者、後見人などの法定代理人が代わりに契約を結ぶことが考えられます。

仮に法定代理人などが関与していない契約は取消される可能性もあります。

税金について

不動産の名義を変更するときにかかる登録免許税は遺贈で法定の相続人に名義変更するなら不動産価格の0.4%、相続人以外への名義変更は2%になります。
また不動産取得税でいえば遺贈の場合は法定の相続人へのものであれば税金はかかりません。
死因贈与については契約行為ですからあくまでも贈与契約として3~4%ほどのの税金が発生します。

・・・・・
遺言、贈与に関するお悩み、ご相談は
芦屋家族信託・相続サポートセンターにお任せ下さい。
無料相談実施中・外国人(英語、ベトナム語、中国語)対応も可。
(芦屋市・西宮市・尼崎市・宝塚市・伊丹市・神戸・大阪)
セミナー講師依頼も承っております。
司法書士:冨本隆介