認知症によって不動産が塩漬けになってしまう問題を解決する方法

家族信託という言葉自体は、まだ知らない方が多いために
(もっと専門家が発信していかなければいけません!!)、
別のご相談、

例えば遺言書の作成や任意後見等のご相談を受けているときに、
ご相談者様の抱える不安の根源をお聞きする上で、
それでしたら家族信託を使うとこういう効果がありますよ!
とご提案できることが増えてきております。

様々なケースがあるのですが、一番多いケースとして、いわゆる

「認知症対策型」家族信託

について簡単にご紹介させていただきます。

これは、実務上よくあるのですが、

「親が認知症になってしまい、施設に入所する等で家が空き家になるので、家を売ろうと思う。」

というときに不動産屋さんや司法書士は、もちろん、所有者である売主さんと直接、売却の意思を確認します。
(売買契約なので)
しかし、そのような法律行為(売買契約)を行うためには、法律上、「意思能力」というものが必要になります。
意思能力」とは、平たくいうと、「ちゃんと意味がわかって判断が出来ているか?」ということです。

これによって、未成年者は、まだ「ちゃんと意味がわかって判断が出来る」能力は、不十分だということで、契約などで親の同意が必要になるのです。

これと同じように考えると、認知症の方は、不動産の売買契約のような難しい判断の伴う契約を「ちゃんと意味がわかって判断が出来る」ことは難しいのではないでしょうか?

つまり、「もうようわからんから、あんたに任せるわ」みたいな形だと判断能力があるとは言い切れず、
後々、売買契約自体が、判断能力が不十分な状態でなされた行為として、取り消されてしまう可能性もあります。

このような認知症の方の不動産を売却しようとするとどうするかというと、
現状では、法定後見人を立てて、法定後見人による判断で裁判所の許可を得て、
必要であれば売却をするという流れになります。

つまり、法定後見人や裁判所の判断次第では、売却をしてくれない可能性もあります。

また、後見人は、候補者として親族をたてても必ずしも裁判所により選任されるとは限りません。
むしろ、近年では、親族が後見人に選ばれる数は減ってきており、専門家による後見人の選任が主流となっております。

そして、後見人は、すべての財産を管理することになり、財産に関しては徹底して保全する(本人のために)ことが役割となります。

そして後見人報酬というのも基本的には、その方が亡くなるまで発生いたします。
(後見人報酬は、平成25年に大阪家庭裁判所が出している「成年後見人等の報酬のめやす」という書類によると、
財産額が5000万円以下の場合は、月額3万~4万、
5000万円以上だと月額5万円~6万円。
つまり年間約30万~70万ほどかかります。
参考:http://www.courts.go.jp/osaka/vcms_lf/f3104.pdf)

前置きが長くなりましたが、以前であれば、それでも認知症の方が不動産を売却しようとすると上記のような手続きが必要であり、
やはりそれには、費用がかかりすぎたり、他人に親の財産管理をしてもらうことに抵抗のある人も多く、
相続が発生して子供が引き継ぐまで財産が塩漬けにするような方がいらっしゃったのも事実です。
そのような問題を解決することが出来るのが「認知症対策型」家族信託です。
詳しくは、また次回に。

冨本

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司法書士:冨本隆介